- 「訪問看護のリハビリって、病院と何が違うの?」
- 「PT・OT・STは、どんな働き方をしているの?」
そんな疑問をお持ちのリハビリ職の方に向けて、訪問看護のリハビリのリアルをまとめました。
本記事を読むと、PT・OT・STの役割、1日の流れ、給料の相場、向いている人まで、転職前に知りたい情報が短時間でつかめます。
北海道北見市で訪問看護を運営する当ステーションの実例もあわせて紹介します。
- 訪問看護のリハビリ職(PT・OT・ST)への転職を検討している方
- 訪問リハと訪問看護リハの違いを知りたい方
そもそも「訪問看護のリハビリ」とは?
訪問看護のリハビリとは、訪問看護ステーションに所属するリハビリ職が、利用者さまのご自宅でリハビリを提供するサービスです。
担当するのは理学療法士・作業療法士・言語聴覚士の3職種で、介護保険または医療保険を使い、主治医の指示書に基づいて行います。
大きな特徴は、普段の生活そのものを訓練の場にできる点です。
歩行訓練は廊下、入浴動作はご自宅の浴室、立位訓練は台所など、すべてが訓練場所になります。
病院の機能訓練室では再現できないリアルを扱えるのが、訪問看護リハビリ職の強みです。
「機能の回復」だけでなく、「生活の維持」もリハビリの大切なゴールになります。
「訪問看護のリハビリ」と「訪問リハビリテーション」の違い
名前が似ているため混同されがちですが、両者は提供元の事業所が異なるサービスです。
違いを表で確認しましょう。
| 項目 | 訪問看護のリハビリ | 訪問リハビリテーション |
|---|---|---|
| 提供事業所 | 訪問看護ステーション | 病院・診療所・老健 など |
| 従事者 | PT・OT・ST(看護師と協働) | PT・OT・ST |
| 看護師との連携 | 同じ事業所内で密に連携 | 事業所外なので限定的 |
| 医療ケアとの一体化 | 看護とリハを切れ目なく提供 | 医療処置は連携先が担当 |
| 1回の時間 | 20分/40分/60分(保険により) | 20分単位 |
同じ在宅リハビリでも、訪問看護のリハビリは看護師と同じ屋根の下にいるのが大きな違いです。
病状の変化があればすぐに看護師へ相談でき、リハビリと医療ケアを切れ目なく届けられます。
訪問看護で活躍する3職種|PT・OT・STそれぞれの役割
訪問看護のリハビリは、PT・OT・STがそれぞれの専門性を活かして提供します。
まずは3職種の役割を、以下から確認してください。
3職種の特徴を表で整理すると、それぞれの守備範囲が一目でわかります。
| 職種 | キーワード | 主な支援領域 |
|---|---|---|
| 理学療法士(PT) | 「動く」を取り戻す | 立つ・歩く・移乗など基本動作 |
| 作業療法士(OT) | 「暮らし」を再構築する | 食事・更衣・入浴などADL/趣味・家事 |
| 言語聴覚士(ST) | 「話す・食べる」を支える | 失語症・嚥下障がい・認知機能 |
①理学療法士(PT)|「動く」を取り戻す専門家
理学療法士(Physical Therapist)は、基本的な動作能力の回復・維持を支える専門職です。
寝返り、起き上がり、立ち上がり、歩行、階段昇降など、生活の土台となる動作を中心に支援します。
- 関節可動域訓練・筋力強化訓練
- 歩行訓練(屋内・屋外・段差)
- 立ち上がり・移乗動作の練習
- 呼吸リハビリ(COPDや在宅酸素療法中の方)
- 福祉用具(杖・歩行器・車いす)の選定アドバイス
- ご家族への介助方法の指導
- 転倒予防のための住環境チェック
病院勤務との大きな違いは、「機能改善」だけでなく「生活機能の維持」もゴールになる点です。
高齢の利用者さまや進行性疾患の方では、現状を保つこと自体が大きな価値になります。
②作業療法士(OT)|「暮らし」を再構築する専門家
作業療法士(Occupational Therapist)は、日常生活動作や「作業」を通じてリハビリを行う専門職です。
食事・更衣・入浴・トイレなどの動作から、調理・洗濯・買い物などの家事、趣味活動までを対象にします。
- 食事・更衣・入浴・整容・排泄など日常生活動作(ADL)の訓練
- 調理・洗濯・買い物など手段的日常生活動作(IADL)の訓練
- 上肢機能訓練(書字・道具の操作)
- 高次脳機能障がいへのアプローチ
- 認知症の方への作業活動を通じた関わり
- 自助具・福祉用具の活用提案
- ご家族の介護負担を減らす環境調整
OTの強みは、利用者さまの「やりたいこと」から逆算して計画を組み立てられる点にあります。
「孫の運動会を見に行きたい」という思いがあれば、屋外での持久力、トイレまでの動作、必要な装具まで、生活全体を視野に入れて支援します。
③言語聴覚士(ST)|「話す・食べる」を支える専門家
言語聴覚士(Speech-Language-Hearing Therapist)は、言語・コミュニケーション・嚥下に関する専門職です。
脳血管疾患後の失語症、構音障がい、認知機能の低下、嚥下障がいなどに対応します。
- 失語症・構音障がいへのリハビリ
- 嚥下機能評価と嚥下訓練
- 食事形態・とろみ調整のアドバイス
- 誤嚥予防のための姿勢・口腔ケア指導
- コミュニケーションツール(文字盤・タブレット)の活用提案
- ご家族への声かけ方法・会話の工夫の指導
- 認知症の方への関わり方支援
在宅領域のSTは求人数こそPT・OTより少なめですが、嚥下支援のニーズは年々高まっています。
「食べる楽しみを最期まで」を支える、やりがいの大きい職種です。
④3職種が担当しやすい代表的な対象疾患
3職種にはそれぞれ得意とする疾患領域があります。
もちろん同じ利用者さまに複数職種が関わるケースも多くあります。
| 職種 | 代表的な対象疾患・状態 |
|---|---|
| PT(理学療法士) | 脳血管疾患後の片麻痺/変形性関節症/骨折後/パーキンソン病/心疾患/COPD など |
| OT(作業療法士) | 脳血管疾患後の高次脳機能障がい/認知症/関節リウマチ/精神疾患/発達障がい など |
| ST(言語聴覚士) | 失語症/構音障がい/嚥下障がい/認知症/音声障がい/小児の発達障がい など |
当ステーションには、看護師9名(常勤4名・非常勤5名)と理学療法士4名が在籍しています。
看護師と同じ事務所でデスクを並べる体制のため、リハビリ職もスムーズに情報共有ができます。
経管栄養・在宅酸素・人工肛門・吸引・麻薬を用いた疼痛管理など、医療依存度の高い方への対応実績もあります。
訪問看護リハビリ職の1日の流れ
訪問看護のリハビリ職は、1日4〜6件の利用者さまを訪問するのが一般的です。
当ステーションでも、1日5件前後を目安に1人ずつ車で回っています。
実際の流れをステップで見ていきましょう。
ステーションに出勤し、看護師・リハビリ職全員で朝礼を行います。
前日のオンコール内容や利用者さまの状態変化、当日の訪問予定を共有します。
社用車で1件目のお宅へ向かいます。
バイタル測定、前回からの変化の聞き取り、本日のリハビリの順に進めます。
1件あたり40〜60分が中心です。
2件目を実施します。
利用者さまの状態によっては、ご家族への介助指導や住環境のアドバイスも行います。
緊急性の高い変化があれば、その場で看護師や主治医に電話で連絡します。
ステーションに戻って昼食、または近くで昼食を済ませます。
午前の記録を整理しながらの休憩です。
午後はさらに3〜5件のお宅を回ります。
担当の利用者さまは数か月〜数年単位で関わることが多く、ご家族とも顔なじみの関係を築けます。
ステーションに戻り、訪問記録を作成します。
ケアマネジャーや主治医への報告書作成、翌日の訪問準備もこの時間に行います。
記録が終わり次第、退勤です。
リハビリ職にはオンコール対応がない事業所が多く、当ステーションも基本的に対象外としています。
病院リハ・通所リハ・老健リハとの違い
同じリハビリ職でも、勤務先によって仕事内容や働き方は大きく変わります。
代表的な4つの職場を比較しましょう。
| 勤務先 | 主な対象 | リハの目的 | 働き方の特徴 |
|---|---|---|---|
| 訪問看護のリハ | 在宅生活を続ける方 | 生活機能の維持・向上 | 1対1の個別対応/夜勤なし |
| 病院 | 入院中の患者さま | 機能の集中的回復 | 多職種チーム/夜勤あり |
| 通所リハ | 通える在宅高齢者 | 機能維持・社会交流 | 集団+個別/土日勤務あり |
| 老健施設 | 在宅復帰を目指す方 | 在宅復帰の準備 | 施設内完結/夜勤あり |
訪問看護のリハビリは、「その人の生活の場」でリハビリを提供できる唯一の働き方です。
机上のADL訓練では見えなかった「実際の家での動き」を観察し、その人の暮らしに直結したリハビリを組み立てられます。
一方で、移動を伴うこと、1人で判断する場面が多いこと、利用者さまとの距離が近いことなど、病院とは異なる難しさもあります。
どんな働き方が自分に向いているか、次の章でチェックしてみましょう。
訪問看護リハビリ職に向いている人・求められるスキル
訪問看護のリハビリ職は、技術力よりも「生活を見立てる力」と「人と関わる力」が問われます。
どんな方が向いているか、また向いていないかを整理しました。
- 利用者さまやご家族の話をじっくり聴ける人
- 「生活全体」を視野に入れて関われる人
- 自分のペースで仕事を組み立てたい人
- 1対1のじっくりした関わりが好きな人
- 応用力があり、現場で判断できる人
- 看護師など他職種と協働するのが好きな人
- マニュアル通りに進めたい人(在宅は個別性が高く、毎回違う)
- 1人で判断するのが苦手な人
- 運動器疾患の機能回復だけに専念したい人
- 移動・運転が極端に苦手な人
向き不向きは「性格」というより「興味の方向」の問題でもあります。
不安があっても、研修や同行で乗り越えられる範囲は意外と広いです。
未経験・新卒でも始められる?
訪問看護のリハビリ職は、臨床経験3年以上を目安にする事業所が多い領域です。
在宅では1人で判断する場面が多いため、ある程度の臨床経験が望まれます。
ただし最近では、若手でも先輩との同行訪問を経て独り立ちできる教育体制を整えた事業所も増えています。
当ステーションでも、新たに入職されたリハビリ職には先輩スタッフとの同行訪問期間を設けています。
利用者さまへの関わり方、看護師との連携、記録の書き方を、一つひとつ丁寧に共有していきます。
💡 未経験で訪問看護リハに挑戦するときのチェックポイント
- 同行訪問の期間が確保されているか
- 判断に迷ったときに相談できる先輩がいるか
- 定期的な勉強会・カンファレンスがあるか
訪問看護リハビリ職の給料・年収のリアル
訪問看護のリハビリ職の給料は、病院勤務と比べて同等〜やや高めの傾向があります。
訪問件数に応じたインセンティブ手当を取り入れている事業所が多いためです。
当ステーション(北見・ケアーズ)の給与水準
参考までに、当ステーションのリハビリ職の給与水準をご紹介します。
| 項目 | 金額・条件 |
|---|---|
| 正社員 月給 | 210,000円〜280,000円 |
| パート 時給 | 1,350円〜 |
| 賞与 | 年2回 |
| 主な手当 | 待機手当・訪問手当・実績手当 など |
| 勤務時間 | 8:30〜17:30 |
| 移動手段 | 社用車支給 |
訪問件数に応じた実績手当があるため、頑張った分が収入に反映されやすい仕組みです。
給料が高くなりやすい3つの理由
訪問看護のリハビリ職の給料が比較的高めになりやすい理由を、表で整理しました。
| 理由 | 具体的な仕組み |
|---|---|
| ① 単価が高い | 訪問1件あたりの介護報酬が比較的高く、件数手当が反映されやすい |
| ② 夜勤手当の代わり | 夜勤がない代わりに、基本給そのものを手厚くしている事業所が多い |
| ③ 責任への対価 | 1人で訪問・判断・対応する責任が大きく、処遇がそれに見合う |
同じ職種でも、勤務先によって年収100万円以上の差がつくこともあります。
条件を比較するときは「月給」だけでなく、手当・賞与・移動手段までセットで確認しましょう。
北見でリハビリ職として働くということ
北見市は人口11万人規模の街で、市内の在宅医療を支える訪問看護ステーションの数は限られています。
1人ひとりのリハビリ職が地域の在宅医療に与えるインパクトは、都市部より大きいといえます。
- 対応エリア:北見市内・端野・留辺蘂・訓子府
- 看護師9名・PT4名のチーム体制で、看護とリハを一体的に提供
- 24時間電話相談・緊急時対応・定期巡回連携あり(リハビリ職は基本的にオンコール対象外)
- 自立支援介護に注力し、お元気なうちからターミナル期まで切れ目なく関われる
- 医療機関との連携を重視し、主治医・ケアマネ・他事業所と密に情報共有
社長訪問看護のリハビリに関するよくある質問
- 訪問看護のリハビリ職にオンコール対応はありますか?
-
事業所により異なりますが、リハビリ職は基本的にオンコール対象外とする訪問看護ステーションが多いです。
当ステーションでも、オンコールは主に看護師が担当しています。
- 運転が苦手でも働けますか?
-
訪問看護のリハビリ職は、社用車で移動する事業所がほとんどです。
完全なペーパードライバーの場合は最初に不安があるかもしれませんが、市街地中心であれば慣れることで対応できます。
当ステーションでも社用車を支給しており、地理に不慣れな方は先輩との同行から始められます。
- 病院勤務との掛け持ち(副業)は可能ですか?
-
事業所の就業規則によりますが、訪問看護ステーションではパート・非常勤としての副業勤務を受け入れているところもあります。
「まずは週2〜3日から訪問看護を体験してみたい」という方は、パート勤務を検討してみてください。
- PT・OT・STの中で、求人が多いのはどの職種ですか?
-
全国的にはPTが最も多く、次いでOT、STの順で求人が出る傾向です。
ただし在宅領域では嚥下・コミュニケーション支援の需要が高まっており、STの活躍の場も広がっています。
- リハビリ職は1日に何件くらい訪問しますか?
-
事業所や地域によって異なりますが、1日4〜6件が一般的です。
当ステーションでは1日5件前後を目安にしています。
件数が多すぎると一人あたりの質が落ちるため、件数と質のバランスを取ることが大切です。
まとめ|訪問看護のリハビリは「自分らしい暮らし」を支える仕事
訪問看護のリハビリ職は、病院のように「機能の回復」だけを追いかける働き方ではありません。
利用者さまの「これからの暮らし」そのものを支える仕事です。
1対1でじっくり関われ、ご家族とも長く付き合えるのが大きな魅力です。
PT・OT・STにとって、専門性とやりがいをともに育てられる職場といえます。
北見市で訪問看護のリハビリ職としてのキャリアを考えている方は、ぜひ一度、当ステーションの見学・面談にお越しください。
実際の現場の雰囲気や、看護師との連携、利用者さまとの関わり方を肌で感じていただけます。
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当ステーションのコラム作成を担当しております。療養者とご家族に寄り添う看護を心がけています。